THE STARGAZER HISTORY
MoMAも認めた芸術品
(1983年所蔵)
BILL MOSS: THE STARGAZER
美しいだけじゃない。2本のポールを1点で交差させるドームに比べて張りが強く、ヘッドクリアランスの良さは抜群。しかも上部に、ベシカ•ピシス(先の尖った楕円)形天井が形成されるために、内部は広々。
モスの息子Jeff Mossは、このテントにスターゲイザー(星を見つめる人)という名前をつけた。
また、キャンプテントとしてははじめて、NY近代美術館の永久展示品に選ばれている。
上から見ても、横から見ても、中から見ても、計算されつくされたエレガントな曲線と曲面で、人々を魅了する。そんなモステントの基礎となったモデルが、1983年からニューヨーク近代美術館に所蔵されている。ポールを魚座型にクロスしただけのシンプルなそのテントのスゴさは、外見だけじゃない。滑らかな壁は風雨をうまく受け流し、均一な張力は高い剛性を生む。ビル•モスのテントは、機能する芸術品なのである。
シンメトリカルな曲線と、ファブリックによる曲面の組み合わせ。それはデザインであると同時に、内部空間を広げている。機能する芸術といわれる所以だ。
本来2次元の幾何学理論であるベシカ•ピシスを3次元に応用したデザインが、スターゲイザーの、ルーフ部分。メッシュ生地とポールスリーブが作り出す曲面は、まさに緊張感ある美しさだ。
ふたつの弧が重なり合ったできる尖った楕円を、幾何学用語で「ベシカ•ピシス」と呼ぶ。モスのテント、スターゲイザーの頂上部の楕円がまさにこれだ。
MoMAの学芸員・ルイーザ•ローチさんによれば、モスのテントがコレクションされた理由は、この頂上部の美しさにあるという。小難しい解説をすれば「居住性という機能をもっとも単純な唯一の方法で」実現している、ということらしい。デザインと機能は等価だったのだ。ベシカ•ピシスは「機能」と「デザイン」、それぞれの集合が重なり合う「部分集合」のように見える。
MoMA 現代の視覚芸術の啓蒙に先駆的な役割を果たす美術館。モスのSTARGAZERは1984年の大改修以前1983年にコレクションされました。
テントの神様 チャールズ•ビル•モス (CHARLES BILL MOSS)
BILLはテントを「機能する芸術品」として位置付け、斬新かつ機能的で、美しいシルエットの作品を作り続けた。
その代表作のひとつが「スター•ゲイザー」だ。のちのMoMAのパーマネント•コレクションとなったこのモデルは、世界のテントデザイナーを刺激し、その後のスタイリッシュなテントを生む起爆剤となつた。